幸せの効能。
少し前、酷い目にあった。
酷い目というか、理不尽な目にあった。
その時は戦う元気が無かったので、一旦は泣き寝入りした。
文字通り泣いて2週間を過ごした。
けれど、泣き寝入りのイメージに反して、私はあまり眠れなかった。
最初の一週間はほぼ一睡もせずに昼も夜も泣いて、
二週目はふと眠りに落ちた瞬間に飛び起きる、ということが続いた。
三週目に入った頃から、ようやく日に一時間位は寝る様になった。
そして昨日は久しぶりにまとまった時間を寝た。
やれやれ、ようやく泣き寝入りだ……と思ったけれど、
気付いたら、私は既に長時間は泣かない体になっていた。
うっかりすると涙が出て来てしまうけれど、
鼻水をすするように、出かかった涙をすすることが出来る様になっていた。
嘘。
けど、感覚としてはそんな感じになっている。
もうじきまる三週間が経つ。
今の私には、
こんなにも長い間、
泣き暮らす事が許されている、
感謝したい。
心から。
それにしても、
こんなにも幸せで恵まれていると言うのに、
私は何故、こうも傷つきから逃れられずにいるのだろうか。
幸福は、
更なる不幸に転落することを予防している。
けれど、
幸福は、
直接的に傷つきを癒やしてくれるということは、無いとは言わないが特効薬にはならないみたいだ。
ただ、
自ら傷が癒えるための時間と空間を提供してくれる、
幸福とは、そういう風に作用するものだったのですね。