技術者の苦悩(「風立ちぬ」感想:追記)
「風立ちぬ」の感想の追記です。
> 何より彼は「エンジニアの心情をもっとちゃんと描いてくれると思ってたのに…」と残念そうでした。
と書いたのですが、これをちょっと補足します。
飛行機を早く飛ばす設計をすれば兵器として優れている=人殺しに優位ということ。
そして早く飛ばすためには機体を軽くする=パイロットの命の保証が無くなる、と言うことになる。
いずれにしても命を奪う局面で、技術者の内(なか)に苦悩が無かった筈が無い、と言うのです。
いくら金持ちの技術者だとしても、全く葛藤しなかった筈が無い、と。
技術者として優れた物を作りたいと言う面での葛藤だけでなく、軍の要請と人の命のとの間に立った時、そこには絶対に葛藤と苦悩があった筈だ、ということです。
それに対して私は、戦時下の、あの太平洋戦争時の尋常ならざる常識がまかり通っていた状況下では、そんなこと考える感覚が無くなっていたとか、だとしたらそこをちゃんと描いて欲しかったし、
(ま、主人公は常にひょうひょうとしてて、そんな様子では無かったですが…)
それとも金持ちにとっては本当に“所詮は対岸の火事”で、そんな気持ちが無かったのか(何しろ金持ちになったことが無いから解りません)…
と言う意見だったのですが、彼はそんなことは無い、と言うのです。
「きっとそこで悩んだ筈だ、技術者ならば、絶対に悩んだ筈なんだ」と。
みな様はどの様にお感じになられましたでしょうか?