故郷のかき氷を求めて…
私の故郷の氷は、始めふわふわ中ショクショク、最後はサラサラです。
あんなにギュッギュッギュってしたのにふわっとしてて、溶けるとショクショクして、小豆が入ってても最後はきっとサラサラっと飲み干せる、そんな氷です。
器の底には、雪の結晶の様な模様がいくつか残ってて、それがとても綺麗だったっけ。
氷は氷屋、菓子屋(和菓子屋)、子ども商いと呼ばれる駄菓子屋などで飲めました。
氷屋さんというのは、今では一般のご家庭では馴染みが無くなりましたよね。
「昭和42年生」の私が子どもの頃は、私が熱が出すと母が氷屋に氷を買いに行ってくれました。四角いブロックに切り出された氷を買って来て、家で砕いて氷嚢にするのです。そうです、あの、かき氷機にセットするあの大きさの氷です。
その氷屋さんが店先に机を出して夏場だけ氷をかいてくれるのです。
作り方はどのお店も然程変わらない、
器にまず甘露を一杯、そして氷をかいて、ギュッギュッギュっと氷をしめてまた氷…と何度か繰り返して最後にふわっと氷をかいてまた甘露をかけて、最後にシロップをかけます。すると氷がちょっと溶けるので仕上げにまた軽く氷をかいてくれて、できあがり。小豆やミルクを頼んだ場合は氷の間に入れてくれます。
氷は、氷屋だったら冷蔵庫から取り出しますが、菓子屋など、氷屋じゃないお店ではバケツに入ってました。
何が?氷がです。バケツに入った氷には布がかけられてました。
今では当たり前になった冷凍室と冷蔵室が別れてる冷蔵庫は、当時はツードアの冷凍冷蔵庫と呼ばれててまだとても少なかったのです。
かき氷の機械は、私が子どもの頃はもう手回しじゃなくて殆どの店が電動になってました。
シロップは瓶入りの極彩色、これは今でも変わらない。何故か氷屋では店先にズラっと並べます(そういや菓子屋では並べませんね?)。
菓子屋の場合、ミルクは練乳の缶からお匙ですくって入れてくれました。小豆は勿論自家製の小豆、その店で煮たものです。今は菓子屋も餡子屋も減りました。
…ちなみに全国的に?「みぞれ」と呼んでるフレーバーは「みぞれ」じゃなくて「甘露」です。
(先の説明の通り、「甘露」は味のベースとして総てのフレーバーにかかってます。それが他の地域のお店とは決定的に違うところ。)
他にも、町のかき氷はみんな均一料金だったのですが、これも私の育った地域だけでしょうか?
(床屋と銭湯、そして氷屋は県の組合で料金決まってました。多分、今でもそうだと思います。)
それから…氷は「かき氷」よりも「氷」と言う言い方の方がポピュラーでした。
そして「食べる」ではなく「飲む」でした。
「氷飲みに行こう?」って使います。そういや子どもの頃は出前もありました。氷の出前。今は無いのかな?
あぁ、飲みたい。
故郷のかき氷。
毎年、夏になるとあの氷飲みたさに帰省する私です。
今年も開いててくれよ…と祈る気持ちで角を曲がります。